白石温麵 と そうめん の違い

白石温麺は宮城県白石市の名物で、油を使わずに作る短い麺。
胃にやさしく、温かい汁物や冷たいざる麺など幅広く楽しめる。
地元では「おくずかけ」など郷土料理としても親しまれている。


地蔵さん、この前ふと耳にしたんだけど、宮城県に「白石温麺」っていう麺があるんだってね。そうめんと似てるらしいけど、違いがよくわからなくて。教えてもらえる?

はい、白石温麺は宮城県白石市で作られる伝統的な乾麺で、正式名称は「白石温麺」と言います。見た目はそうめんに似ていますが、いくつか大きな違いがあります。まず一つは製法です。そうめんは生地を細く延ばす際にごま油や綿実油といった油を使いますが、白石温麺は油を使わずに作られます。そのため消化が良く、胃に優しい麺として知られています。

油を使わないんだ。だから軽やかに食べられるのかな。短いって聞いたこともあるけど、それも特徴なの?

その通りです。そうめんは乾麺の状態で三十センチほどの長さがありますが、白石温麺はおよそ九センチに短く切られています。お椀にすっきり収まる長さなので、茹でやすく、食べやすいのです。

なるほど、見た目は似てるけど、実際は結構違うんだね。どうして油を使わないようになったのかな?

由来はおよそ四百年前に遡ります。白石城下に住んでいた鈴木浅右衛門という人物が父の胃の病を心配していたとき、旅の僧から油を使わない麺の製法を教わり、それで看病したところ父が元気を取り戻したと言われています。そのことから、体に優しい麺として広まり、感謝の気持ちを込めて「温麺」と呼ばれるようになりました。温かい心をもって作られた麺、という意味も含まれています。

ああ、優しさから生まれた食べ物なんだね。名前に込められた思いが素敵だなあ。消化が良いって聞くと、季節や体調を問わずに食べられそうだなあ。宮城県には、実際に食べられるお店もあるの?

はい、白石市には白石温麺を味わえるお店がいくつもあります。たとえば「白石温麺専門店 つりがね庵」は武家屋敷を改修した趣のある建物で、白石蔵王駅から車で五分ほどの場所にあります。それから「ううめん茶房 清治庵」という製麺所に併設された食事処もあり、落ち着いた雰囲気の中で楽しめます。さらに「やまぶき亭」は百席を超える規模で、団体客も受け入れており、白石温麺をさまざまな料理で味わえる専門店です。

へえ、観光で訪れても立ち寄りやすそうだね。市全体で大切にしている食べ物なんだなあって感じるよ。そうめんは全国的にどこでも見かけるけれど、白石温麺は地域の誇りなんだね。

そうです。白石市では条例を制定し、毎月七日を「白石温麺の日」と定めています。地域全体で振興に力を入れており、伝統を守りつつ新しい食べ方の提案もされています。

こうして聞くと、そうめんと温麺は似てるけど、それぞれの歴史や文化が違うんだなあ。いろんな食べ方があるって言ってたよね。実際にどんなレシピがあるのか知りたいなあ。

はい、いくつか代表的な食べ方をご紹介しましょう。まずは一番基本的な「温かいかけ温麺」です。だし汁を作り、ゆでた温麺を椀に入れて、その上に熱いだしを注ぎます。薬味には刻んだねぎやかまぼこ、ほうれん草などを添えると彩りも良くなります。素朴ですが、胃にやさしい味わいです。

うんうん、優しい感じがするね。シンプルだからこそ、小麦の風味がよくわかりそう。

次に「冷やしざる温麺」です。ゆでて冷水で締めた温麺をざるに盛り、めんつゆにつけて食べます。短い麺なので、すすったときに口の中にすっと収まり、もちっとした食感とのどごしを同時に楽しめます。

それ、夏にぴったりだね。そうめんより少し太いって聞いたから、噛んだときにちょうどいい歯ごたえがありそう。

その通りです。そして白石市ならではの郷土料理が「おくずかけ」です。里芋や人参、しいたけ、油揚げ、豆腐などをだしで煮込み、片栗粉でとろみをつけ、最後に温麺を入れます。とろりとした汁が麺に絡み、寒い季節には体の芯から温まる料理です。

それはもう想像しただけであったまりそう。野菜の甘みやきのこの旨味がしみて、麺と一緒に食べたら絶対美味しいよね。

さらに最近は「ごまだれ温麺サラダ」という食べ方もあります。冷水で締めた温麺を食べやすく切り、レタスやきゅうり、トマトと和えてごまだれをかけます。さっぱりしながらもコクがあり、夏場や食欲の落ちる時期におすすめです。

わあ、それは新しい! 麺が短いからサラダに混ぜやすいんだね。ツルッと食べられて野菜も一緒に取れるなんて、ヘルシーで嬉しいなあ。

はい。白石温麺は油を使わずに作られているため、あっさりとした味わいでいろいろな料理に応用できます。だしや野菜、たれとの相性がよく、シンプルながら奥深い美味しさを楽しめます。

なるほどね。そうめんも美味しいけど、温麺は短くて優しい麺だから、料理に使うとまた違った表情を見せてくれるんだね。今度作ってみたくなっちゃった。ありがとう、地蔵さん。次に宮城に行ったら、絶対に白石市で温麺を食べてみたいな。そうめんとの違いを自分の舌で味わってみたい。

ぜひ試してみてください。きっとその味わいに温かさを感じると思いますよ。
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白石市に行ったら、この優しい麺を本場で食べてみたいな!短い麺をすすって、体も心もポカポカになれそうでワクワクするよ。
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